精神科・心療内科 | 【北上中央病院】沖縄県北谷町の診療病院

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精神科・心療内科

精神科/心療内科

精神科では、標準的で普遍的な医療を提供します。標準的で普遍的な医療とは、いま世界で最も信頼されているエビデンスに則った、広く行われている医療のことです。
抗精神薬や抗うつ薬の多剤併用や、不必要なベンゾジアゼピン系睡眠薬、覚醒剤の処方は、現代精神科医療のエビデンスに反しますので行いません。お悩みの方は是非ご相談下さい。

外来のご案内/精神科

医師の紹介

外間 朝諒

東京女子医科大学 神経精神科 嘱託医師
<資格・所属>
日本精神神経学会専門医・指導医、精神保健指定医、認知症サポート医、クロザピン登録医、日本精神神経学会、日本総合病院精神医学会、日本臨床精神薬理学会、日本神経精神薬理学会 等

診療時間

午前
(9:00-12:00)
第2、第4のみ
午後
(2:00-4:00)
予約制予約制予約制予約制

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※初診の方は事前にご連絡下さい。
※休診や混み合う場合がありますので、ご来院前にご確認ください。

はじめに

初診時に時間をかけて患者さんやご家族のニーズ(要望)を汲み上げることを重視しています。まずは、お悩み、症状が日常生活や社会生活(学校、仕事など)へ、どの程度影響しているのかを伺い、話し合いながら生活習慣に合わせた対処法を一緒に考えていければと考えています。
さまざまな精神の症状や疾患には、それぞれゴールデンスタンダードともいえる治療がありますが、精神科治療は身体科治療ほど強く確立されたものではなく、不確定要素も多いとされます(ただし、一部の状態・疾患では生命の安全、症状進行予防のため必ず行った方がよいとされる治療が確立されています)。治療で生活習慣へ影響が出てしまうこともあるため、治療の方針をよく話し合い、患者さんの生活習慣に合わせたものを選択できるように支援していきます。このようなやり方は、shared decision making(シェアード・ディシジョン・メイキング)といい、従来のinformed consent(インフォームド・コンセント)とは少し異なるやり方として、医療のなかで少しずつ浸透してきています。
少しでも、患者さんの生活の質を向上させ、それぞれのペースに合わせた治療を提供できればと考えています。

睡眠の問題(睡眠障害)

日本人の5人に1人が、睡眠の問題で悩んでいるとの統計があります。睡眠の問題は、作業効率の低下など日中の活動へ支障をきたすだけではありません。心身の健康に影響を及ぼすとされ、生活習慣病(高血圧、糖尿病など)やうつ病などのリスクを上げるとされています。
一方で、睡眠障害の多くは、睡眠リズム確認、日中~寝る前の生活習慣の見直しで改善が見込めます。これを目指した治療介入を睡眠衛生指導といいます。ただ、改善まではつらい期間が続きますので、症状や患者さんとの相談のなかで睡眠薬を用いて乗り切ることもあります。また、睡眠障害の背景には、睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)などの身体的な問題や、うつ病や認知症など精神科的な問題が隠れていることがあります。ご自身の睡眠状況が少しでも気になる際は、ご相談ください。

ものわすれの問題(認知症)

高齢化がすすみ、2025年には65歳以上の方の中で認知症患者数は20%を超えるとの推計があります。60代の方の割合は少ないものの、年齢を経るごとにその割合は急激に増加します。また、一言で認知症といっても、いくつか種類があり特徴が異なります。
ものわすれがあまり目立たないタイプのものもあります。
認知症は、生活の破綻、介護の問題など悲観的な部分ばかりクローズアップされがちですが、そうなる前に進行の予防や、環境づくりが大切です。早期に発見し進行を予防し、介護保険制度などを利用したサービスをうまく利用することで、自宅で落ち着いて過ごせる期間を増やすことができます。認知症が進行する前にサービスを利用していくのは、サービス環境へ早く慣れ継続して利用しやすくする、といった長期的な視点からも重要です。認知機能の低下は一緒に生活していると、過小評価されて気がつかれにくく、調べてみると意外と認知機能が低下していた、ということはよくあります。患者さんが、より長い期間、自分らしく生活できるように一緒に考えていきましょう。
ものわすれのほか、うっかりが増えてきた、以前やっていたことをしなくなった、などもサインとなりますので、気になることがあればご相談ください。

不安の問題(対人不安、過度な健康不安、パニックなど)

不安症状が中心のものを、不安障害といいますが、細かい分類があります。性別や年齢ごとにも傾向や効果のある薬剤も少しずつ異なるため、それぞれ治療アプローチが異なります。不安は、他の症状に比べれば些細な問題とも見られてしまいますが、睡眠障害やうつ病、認知症などの経過にも影響を与えます。不安は、過剰にビクビクする、頭が変に冴えるといった、過敏性や過覚醒が続いてしまう状態ですので、かなりの苦痛や脳への負担をもたらし、生活にも支障が及びます。不安の背景にうつ病などの精神科的な問題が隠れていることもあり、じつは精神科診療のなかでキーともなる症状です。
不安は我慢しすぎてしまうと、悪化していくともいわれています。患者さんのつらさの改善のためにも、適切な薬物療法で症状を抑えながら、なぜ不安なのか、不安が改善しないとどうなるのか、など患者さんの不安への捉え方を確認し、すこしずつ不安から目をそらすアプローチなどを生活に合わせながら行っていきます。まずはご相談ください。

気分の問題(うつ状態など)

コロナ禍に代表される社会的な変化や、それに伴うストレスは都度変化しつつ増加しており、価値観の多様化も反映し、気分の問題を抱える人も増加傾向です。気分の落ち込みを主症状とする疾患で、代表的なものはうつ病です。うつ病は100人に10~20名程度の方が生涯経験するといわれる、ありふれた病気です。昔は、重症な方しか受診につながりませんでしたが、社会の理解が進み受診へのハードルは下がり、治療方法の選択も広がっています。また、うつ病までは至らなくとも、同等のつらい状態となる適応障害の方も適切に休養環境を整えることで早期の改善が見込めます。
うつ状態とハイな状態を繰り返し、心身の疲弊や社会的影響も大きい双極性障害も、早期治療で再燃を抑えることができると言われています。これらは「本人のやる気や根性の問題」だけで引きおこされるものではありません。脳のホルモン(セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンなど)のバランスの乱れも関係するとされ、身体疾患同様に科学的な治療の対象となる疾患であり、頑張りすぎず、治療に踏み切ることが良いと思われます。
日常生活への影響が小さいなど、症状の程度によっては適切な休養のみで改善することも多いですので、早めにご相談をください。

発達障害(ASD,ADHDなど)

発達障害は、脳機能の発達が偏ってしまう特性から、コミュニケーションの仕方や物事のとらえ方が独特となり、生活や仕事などの様々な場面でうまくいかず、困難を感じてしまう障害のことです。生まれ持った脳の機能発達の過程で獲得する特性ともされ、親の育て方などで変化するものではありません。実際、このような特性は、誰しも少なからず持ち合わせているものです。しかし、それが大小積み重なり、ご自身や周囲が困難を感じるようになると、障害として診断されることになります。

例えば、学校や職場で、コミュニケーションが固く嚙み合わない、いわゆる「空気を読む」といった判断が苦手、なんでも杓子定規にとらえがち、衝動的に発言・行動してしまいトラブルとなる、うっかりが多い、といった問題が生じることがあります。そのため、友人や同僚とうまくかみ合わず、意図せず周囲からの評価が下がってしまう、といった場面が出てくるかもしれません。
また、子供や学生のあいだは、勉強ができる、指示された課題は遂行できることなどから、発達障害とは気づかれないことも多くあります。しかし、社会に出て、自分で考え、判断し、適宜相談する、忖度する、といった対応が求められる場面で、初めて困難が顕在化することもよくあります。いわゆる、大人の発達障害です。

当院では、これらの困難を減らすために様々な工夫、周囲の理解を得るための提案、得意な部分の再発見といったお手伝いをさせていただいています。最近では、発達障害という言葉が独り歩きし、「自分は発達障害かもしれない」と過度に考えすぎ不安になってしまっている方も多いです。まずはご自身の感じるところを教えていただき、一緒に考えていければと思いますのでご相談ください。
※当院は、小児精神の専門医は不在ですが、お子様の特性を踏まえたご両親の不安や、お子さんへの接し方の相談などはお受けしています。

統合失調症とその類縁疾患

統合失調症の有病者は100人に1人とも言われ、ごく普通な頻度としてみられ、その類縁疾患を合わせるとお悩みになっている方は多い疾患群です。これらの疾患に対しては、なるべく早めに治療を開始し、なるべく長く治療を継続することが重要と言われています。というのも、早期治療と継続が症状の再燃を防ぎ、生活機能や社会機能の低下を防ぐことができると言われているからです。
身体疾患以上に、薬物療法による改善メリットが高いともいわれており、どうしても薬物療法が治療の中心となってはいきますが、最近は副作用が少なく効果も十分な薬が多数開発されています。それに伴って、不具合なく治療が継続できることも多くなり、復職・復学をこれまで同様に果たし、社会生活を問題なく送れる方も増えてきました。患者さんの目標を大切にし、生活習慣にあわせた治療方針を、ご家族など周囲の方と一緒に考えていきたいと考えますので、気兼ねなくご相談ください。

月経周囲の感情の問題(PMS,PMDD)

これまでは、周囲に理解されないことが多かった、月経にかかわる諸問題も議論が進みつつあります。企業によっては、月経休暇を設定するなど、月経にかかわる問題は個人の問題だけではなく、社会全体でケアが必要な状態であるとの認識が少しずつですが進んでいます。月経前の感情や気分の問題もその一つです。月経まえのイライラ、落ち込みなどつらい症状は、単なる気持ちの問題ではなく、女性ホルモンの急激な変化に伴う、内分泌的な問題であり治療の対象となります。
低用量ピル、漢方などで対処することが多いですが、月経前の一定期間だけ少用量の抗うつ薬を使用することで、感情の症状が緩和できることが分かってきています。当科では、実際の治療経験も多く、さまざまな方法が提案できるかと思います。ぜひご相談ください。

その他

代表的な問題について、いくつかあげてみましたが、これ以外にもこころにまつわる問題は多岐にわたります。ライフステージの変化などで孤独を感じるようになった、不安が増した、気持ちが変化したなど様々な問題が生じる方もたくさんいらっしゃいます。
はっきりした症状がなくとも、お力になれることがあるかと思いますので、ぜひご相談ください。